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『プロミスト・ランド』を見た。結構よかったよ。

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映画を見ながら、自分の今の仕事について色々考えたりした。

組織の正義と個人の倫理の狭間での葛藤に苛まれることというのが、しばしばある。

たぶん大昔からいろんな人を悩ませているベタにもほどがあるジレンマで、この映画でも主人公がそんな境遇に陥って、最終的に、まあ映画らしい決断をするんだけど。

今週、こんなことがあった。

期日までに(と言っても猶予は2日間くらいしかない)、相手先の企業の担当者に書類をよこすよう指示していた案件があって、当日「別の案件で立て込んでて、回答を明日まで待ってくれ」と電話がきた。

別の案件というのはウチの会社の業務と無関係ではなく、どれだけ担当者が切羽詰まった状況なのかはなんとなく推測できた。

社会人1年目だったら「そうですか・・・じゃあ仕方ないですね・・・」と引き下がってたと思うけど(そんで後で上司に怒られる)、2年目ともなると「そんなのウチには関係ないです。とにかく明日の朝イチに私が確認できるよう書類を整えてください」くらいの回答はできるようになった。

期日といっても時間までは指定していなかったし、書類を確認するのはどちらにしろ翌日の午前中になる手筈だったので、実質8時間くらい期限を延ばしたことになる。

出来うる限りの良心的な対応をしたつもりだが、これは担当者(28歳女性)に徹夜をして仕上げろと命じているに他ならない。

書類は深夜にメールで届いていた。

俺個人は、基本的に「頑張らなくていいんだ。お前も親のスネなんていくらでもかじって、仕事が残っていても定時に帰り、困ったら生活保護に頼って生きていこうぜ」という人様に対して緩いスタンスの人間で、はっきり言って1日2日遅れたところで大した問題でもない(よしんば永遠に送られてくることが無かったとしても相手先が困るだけでウチの会社の不利益になることはない)書類を、「しつけ」として徹夜させてまで作らせるなんてのは嫌いだし傲慢だと思ってる。

28歳女性が今夜大事なデートの予定だったら?めっちゃ体調崩してたら?夜更かしはお肌の大敵では?

それでも後から「相手先担当者へのしつけがなってない」と上司に言われるのが嫌だから、人様の大事な夜を潰したのだ。

ちなみに自分はその夜飲み会でしたね。

まあ、約束を守らない相手に非があるとは思う。

でも、普段からやりとりをしていて、その担当者が他の相手先の担当と比べて、明らかに仕事を背負いこみすぎているのも知っている。

ただ、外部からよその会社に「一人に負荷がかかりすぎる運営体制を見直せ。人員の割に事業拡大しすぎ。人もっと雇え」とは言えないわけで。今日までそして明日からも、彼女に「四の五の言わずさっさとやれ」と言うことしかできない。窮状が伝わって、相手先の人事が動いてくれればいいんだけど。

 

という感じで、自分の中の道徳感と相反することを仕事ではやらなきゃいけない時があって、まあ上の話なんて可愛いもんです。たぶん割と普遍的な相手先とのひと悶着で、これなら業種が特定出来まいと思って例に挙げただけで、まあもっと酷い話もあるよね。

最近は、大河ドラマ新選組!』の第38話「ある隊士切腹」が以前にも増して染みるよ。

 

こんなことがよくあると、仕事と心の距離感をどう保つかを考えるようになっていく。

ひとつは、元々持っている心と別に仕事用のそれを作り出して、完全に住み分ける。元々持っている方は安全な場所に避難させておいて、仕事からの浸食を防ぐ。

もうひとつは、仕事でも自身の道徳を最大限に持ち出す。持ち出すだけだとあっという間に心が矯正されていくか鬱になるかなので、自身の道徳でもって相反するものと可能な限り戦う。

かっこいいのは後者ですね。映画のラストも後者。クビになるけどね。クビになりたくはないね。

だから前者が可能か試してみた時期もあったんだけど、あんまり上手くいかんかった。いつの間にか両者が融合してしまう。

なのでどっちつかずのまま、明日も仕事に行くね。

雷が鳴ってきた。パソコン閉じないと。